2008年12月21日日曜日

キーラック&キャンドル・スタンド

このところ、端材の有効利用とプロダクト・デザインのトレーニングを兼ねて、小物の制作を集中的にやっています。 今回のお題は、キーラックとキャンドル・スタンド。 
鍵の置き場所に困る、パートナーが間違って自分の鍵も一緒に持って行ってしまったなんていう経験は、少なからずあると思うのです。 そこで、目立つように鍵を保管する機能のデザインを考えてみると、他人の真似事ではないようなオリジナルを作るのは、なかなか大変なことだとつくづく思い知らされることになるのです。





鍵を引っ掛けるという単純なパターンと、鍵を差し込むパターンを作ってみました。 このほかにも、プレートに小枝のペグを差し込んだバージョンも作ってみました。 これは、作り手の意図とは異なり、アクセサリーと掛けるのに使いたいという方がいらっしゃって、まあいろいろな使い方があるのだと思った次第です。(下の写真)



キャンドル・スタンドは、オイル・フィニッシュの落ち着いた感じの物をいくつか作ってみました。



かまぼこ型や、スリット・タイプ



耳つき板部分を使ったラスティック風、チークとタモの角材を使ったソリッド感のある物、



タワー・タイプに、ツリー・タイプ

グラス・ホルダー・タイプ

と、デザイン・バリエーションをいくつか作ってみたのですが、家具を作るのとは異なり、目の前の端材を見て、形をイメージし簡単なラフスケッチから材を加工するのは、決して同じ物を作ることはできない一点物の楽しさがあります。

ついでに、耳つき板のフレームも作りましたが、これはなかなかオリジナリティを出すのが難しい、どこかで見た風のフレームになってしまいました。

いや、オリジナルのデザイン小物、難しくも有り楽しくも有りでした。

2008年12月14日日曜日

結構巨大な楢の一枚板



楢の一枚板です。 サイズは2900x1200x60で、リビングのダイニング・テーブルと和室コーナーの座卓を兼用する板となる予定です。 こういう一枚板を工房に入れると、何か巨木のエネルギーで満たされるような、なんともいえないいい気持ちになります。 年輪を数えると、樹齢100年以上の樹、これから削っていくと、どのような木目が浮き出てくるのか、楽しみです。 ベルトサンダー、ホイールサンダー、オービタルサンダー、ランダムサンダー、手カンナ、サンディング・ブロック、スクレーパー、ドローナイフ、インシェーブと、工房にあるほぼ全ての削る道具を総動員して加工します。 できれば週明けには、加工後の写真をアップしたいなと、思っています。 乞うご期待。  

2008年12月10日水曜日

サイドボードとローテーブル納品しました。

12月7日の日曜日に、乾燥の終了したサイドボードとチークのローテーブルを納品しました。 千葉のI氏邸は、今年の5月に完工した新築の木造住宅で、床材や、建具にニュージーランド・パインをふんだんに使い、壁はすべて珪藻土の、高気密・高断熱住宅です。 24時間換気で、室内の空気は木の香りとほのかな暖かさで、すがすがしい気分になります。



TV、DVD機器、オーディオ機器がバランス良く設置できました。 深めのブラウン色のレザー・ソファとチークのローテーブルの組み合わせも、いい感じです。

サイドボードは、工房で制作中はかなり大きめのサイズと思っていたのですが、こうしてみると大型液晶との組み合わせでちょうどよいサイズになってます。 ますます、昔の大型ステレオ(当時はHiFiセットと呼んでいたような)をイメージするような雰囲気ですね。 そういえば、祖父の家にあったカラーテレビも両サイドにスピーカーボックスのついたサイドボードのようなデザインでした。 画面にゴブラン織りのようなクロスをかけて、番組を見る度にクロスをめくっていた記憶があります。



これから、色の深みをましていく無垢の家具、10年後、20年後I氏邸で家族のいろいろな思い出を刻みながら、末永くお使いいただけますよう願っています。

2008年12月1日月曜日

チークのローテーブル

ちょっと前に完成したチークのローテーブルの制作プロセス・レビューです。 まずは、図面を引きおなじみのミニチュアを作り、バランスを確認します。 この段階では、 天板の形状はラウンド・コーナーで、脚は2方転びの楕円形状でした。

ミニチュアのローテーブル

天板の接ぎ合わせはビスケット・ジョイントとイエローボンドでしっかりと接着します。 このチークという材は油分が多いので、通常の酢酸ビニルのボンドではしっかりと接着できないのです。 ビスケットが使用できない小物の接ぎ合わせでは、エポキシ接着剤を使用しないとだめなんですね。 

天板と脚、中桟、幕板の接着

天板は、ミニチュアのコーナー・ランド形状から、レーストラック・オーバル形状に変更しました。 天板の接ぎ合わせが完了した状態で、写真で天板形状をお客様に確認していただいたところ、もう少し楕円形状のほうがいいとのことで、最終的にはオーバル形状になりました。 



仕上げ後のローテーブルは、ホームページの”Gallary"でご覧になってください。

2008年11月29日土曜日

FMチャッピー 生出演しました!

今日は夕方5時から、入間・所沢・狭山のコミュニティ放送局であるFM チャッピーの番組「くらし経済塾」の「この人に聞け!」コーナーに生出演しました。 パーソナリティはこの道?年の安田 佳代さん。
番組前に、ちょっとした打ち合わせを兼ねて雑談をしていたのですが、ON AIRの午後5時からカチャと音がして(そんな気がしました)、DJモードにすっと入っていったのには、ややびっくり。 オープニングのエルトン・ジョンの懐かしいクロコダイル・ロックの曲中、その話をしたら、安田さん曰く「なんかスタジオにいると降りてくるんです。」 おお、安田さんは、その筋の人でしたか、なんてね。

ON AIR中は、25年間のサラリーマン経験や、It's mine開業までの経緯なんかを話させていただいたのですが、あっという間に時間切れという感じでした。 もっと家具や音楽の話もしたかったなと、思いつつ初めてのラジオ出演、楽しく過ごさせてもらいました。


パーソナリティの安田さん。

実は、サラリーマン時代に安田さんと同姓同名の同僚がいて、「お佳代」と呼んでいたのですが、思わず「お佳代」と呼びそうになりました。
一人で選曲からQue出しまでこなし、道路情報はパソコン画面を見ながら実況案内と、実にスムーズにこなしていたのが印象的でした。 スタジオに入ると、高校時代に放送部に籍を置き(あと剣道部と物理部にも在籍)、昼休みのDJとラジオ・ドラマを作っていた頃や、その後小林 克也さんの番組や当時のFEN(今のAFN)にもおしかけ見学した頃を懐かしく思いだしました。 そういえば、あの頃はDJにもなりたいと思った時もあったなと。


番組終了後の2ショット。

番組出演のきっかけを作ってくれた、飯能のHさん、あっちゃん、ありがとう。
「お佳代」、お疲れ様でした。 これからも、70年代、80年代のいい曲聞かせてください。 応援してます。

ON AIR音声はこちらから

2008年11月26日水曜日

トリプル・マイター・ジョイントとは?

It's mineでは、木組みの家具を作っているのですが、木と木を組み合わせる組み手・仕口にはいろいろな種類があって、要所要所で使い分ける必要があります。 代表的な組み手・仕口に、ホゾ組、蟻組があります。 また、ビスケットやダボといった木製パーツを使った木組みも組み手・仕口の一種と解釈してもいいでしょう。 そういった仕口の一種で、トリプル・マイター・ジョイント(三方留接ぎ)という組み手があります。 これは、加工部分にホゾとホゾ穴の2つの機能を持ったちょっと特殊な組み手・仕口です。
和家具の花代や、テーブルのコーナー部分、変わったところでは某音響メーカーのスピーカーが「総三方留接ぎ」で組まれているとか、見た目の格好良さと強度を併せ持った組み手です。

トリプル・マイター・ジョイントの加工部分

このトリプル・マイター・ジョイントの加工プロセスを紹介します。



所定のサイズに加工した角材に、基準面となる45度のカットをスライド丸のこで加工します。




次に、テーブルソーでホゾ部分のカット加工をします。




ホゾ穴を角のみで加工して、余分な部分をスライド丸のこでカットします。




さらに、45度の留加工部分をスライド丸のこでカットすると、右上のような仕口に加工されます。



ホゾのサイズ調整をバンドソーで加工して、出来上がりです。 同じ加工を、コーナーを構成する3本の角材に行います。



加工が終わった角材を3本組み合わせます。




トリプル・マイター・ジョイントの完成です。 きれいな仕口ですね。

この組み手・仕口を使って、どんな作品ができるか楽しみです。

2008年11月22日土曜日

国際木工機械展・インテリア総合見本市

飯能の家具工房で木工修行中の島ちゃんに誘われて、ビッグサイトで、開催された国際木工機械展とインテリア総合見本市へ行ってきました。  
 
木工機械展では、各社大型のNCルーターや、レーザー加工機の展示が目立つ中、Sawstop社のテーブルソーがありました。 このテーブルソーは、非常に安全面に優れたマシンで、人の指がテーブルソーの刃に触れた瞬間にブレードが止まるという優れものです。 衝撃的なデモ動画(http://www.sawstop.com)を見てみてください。
一度ブレードが止まると、ブレーキユニットとブレードの交換が必要で、交換費用は約2万円。 指をなくすよりは安いとは、営業担当の方のコメントでした。 そうなんですよね木工業界では、テーブルソーや手押しカンナで指を1本落とした、4本落としたという事故の話をよく耳にします。 こういうマシンが広く普及すると、事故も防げるのでしょうが。 ちなみに、私の工房では、機械加工の際材料を直接手で触れないようにプッシュバー、プッシュブロック、フェザーボードといった道具を使って安全面に配慮しています。

ドイツのFestool社の新製品、バキューム・クランプ・システムも展示していました。 簡単に言うと、掃除機の吸引力で材を固定するということなんでしょうけど、その固定力がすごい。 任意の角度で固定でき、垂直固定状態で60Kg, 水平固定状態で100Kgの保持力だそうで、これならテーブル天板のエッジトリミングなんかの作業でも楽に使えそうです。 ルーター作業時に材を固定するクランプが邪魔になることがありますが、これならその心配もないんですよね。 ほしいなと思ったツールでした。

Festoolのバキューム・クランプ


インテリア総合見本市は、これまで開催されていた、国際家具見本市や、インテリア関連国際見本市、にっぽんらいふ などが一同に会した、「これを見れば日本の家具・インテリア業界がわかる」的な催しでした。 日本の代表的な家具産地(府中、大川、旭川、徳島etc)の共同ブース、有名家具メーカーの出展の中で、気になる展示がありました。

ひとつは、kitokiというブランドで、府中と大川の家具メーカー4社が産地を越えた提携でデザイナーズ家具を制作・販売しているブースです。 小泉 誠さんと関 洋さんという売れっ子の2名のデザインによる家具を、アメリカ広葉樹を使って制作しているそうです。 小泉さんといえば、これまでも古材をフィーチャーしたカギロイ・ブランドや、桜製作所の家具でもそのデザインが広く市場でも認知されている方ですが、さらにそのデザインが日本で広がる感じです。

kitokiブランドのテーブル

と思っていたら、別のブースでもデザインby小泉を発見しました。 miyakonjo productの製品です。 このブランドは、宮崎県都城地区の2社が共同で立ち上げたブランドで、やはり小泉 誠さんデザインの家具を制作・販売しているとのことです。

miyakonjo productのテーブル

トレンドとして、①複数の家具メーカーが共同でデザイナーズ・ブランドを立ち上げる。②小泉 誠さんデザインが結構多い。 の2点が見て取れます。 家具業界が厳しい状況にある中、こういった流れが広まっていくんでしょうかね。

2008年11月16日日曜日

TV用サイドボード

家具のデザインを考える過程で、ラフスケッチやCADで作成した3Dモデルを見ながらここをこうしよう、ああしようと検討するのも一考なんですが、一番わかりやすいのがミニチュアを前にして考えることです。 手間はかかりますが、例えば質感は、3Dモデルに貼り付けた木材のテクスチャ(簡単に言えば木材表面の写真)ではつかみきれない全体の感触をイメージしやすくなります。 また、各パーツのバランスや、接合部分のシュミレーションなんかも、ミニチュアで検討すると非常に参考になります。
ということで、今回はTV用サイドボードの製作過程を、デザイン検討段階で作成したミニチュアも含めてご紹介します。



両サイドに2本の脚を立て、天板がサイドに張り出した、やや重厚感のあるデザインです。 柿渋とオスモ・オイルの2種類の仕上げで検討してみました。 木材は、タモを使用。



上の左のモデルは、天板はそのままで、両サイドの2本の脚を、4本脚にしてみました。 また、右は天板を側板と同じサイズに収め、シンプルな4本足のデザインです。こういったミニチュアをお客様にお見せすると、いろいろとイメージが膨らんでくるようで、最終決定したのが、次のモデルです。



すっきりとしたシンプルなデザインで、木材は前扉部分にチーク、本体はタモを選択されました。 また、4本脚は、テーパー(斜め加工)をかけた楕円形、サイズは本体に収納するDVDプレーヤーや、ケーブルTVチューナー、オーディオセットに合わせ、やや縦長のサイズになりました。 どこか、昔のステレオを思い出させるようなデザインです。




天板・底板・側板をビスケット・ジョイントで接ぎ合わせます。 天板・底板と仕切り板も、ビスケット・ジョイントで接合します。



側板と天板は、隠しアリ組みで、仕口をアクセントとしてみました。 組み上げてみると、どうでしょう、上のミニチュアと寸分たがわぬ出来映えになっていませんか? ミニチュアが作れれば、本物は作れる、ミニチュアが作れなければ、本物は作れないを実践してみました。
仕上げ後の完成品は、ホームページのGalleryでご覧ください。